これまでの説教

日本基督教団幕張教会 早乙女哲自牧師

2016年6月11日「あなたの信仰が」マルコによる福音書5章21~43節

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 今日からマルコの講解説教に戻ります。今回と次回は同じ聖書箇所です。今回は出血の止まらなかった女、次回はヤイロの娘をみます。まず、このサンドイッチの形に注目しましょう。ヤイロの娘の記事に、出血の止まらなかった女の記事が挟み込まれています。何のために?三つのことをみましょう。まず第一に、『十二年間』という長さです。第二に、主イエスは、とても急いでいる時でも(ヤイロの娘は死にそうです)、大切なこと、この女が単に病が癒されるだけではなくて、主イエスとの対話を通して救いが宣言されることを大切になさいました。第三に、この女への言葉とヤイロの娘への言葉が響きあって、私達信仰を生きる者たちへの励ましになっています。
 女の信仰に注目しましょう。主イエスの服に触れていやされたことを感じた女を主イエスは探します。30節。弟子たちの、31節のような意見にも関わらず、主イエスは探します。32節。女は、33節。そして34節の主イエスの言葉でこの出来事は終わります。しかしここで、主イエスが仰った、「あなたの信仰があなたを救った」の信仰とはどのようなものでしょうか。宗教改革者の説教などをみると、この女の信仰に関して、ずいぶん厳しいことも言われています、主イエスのお言葉にも関わらず。確かにこの女は、ひどく医者から苦しめられ、全財産を失い、それでもますます悪くなるばかりでした(26節)。そこへ、様々な病を癒す主イエスがおられると聞いて、「せめて服に触ろう」とやってきただけです。まだ十字架と復活の前ですし、体系的な信仰の筋道など、何もありません。しかし主イエスは、この女に「あなたの信仰があなたを救った」と仰る。大事なことは、病の癒しではなくて、この女の信仰の中身に関わらず、主イエスが救いを宣言して下さることなのではないでしょうか。