これまでの説教

日本基督教団幕張教会 早乙女哲自牧師

2018年12月30日「共に戦う」(フィリピの信徒への手紙4章2~3節)

 今日の聖書箇所は、前回(4章1節、先々週)からは少し唐突な感じがします。そこで、3章1節前半から今日の箇所へ繋げて読んで、前回までの箇所は別の手紙だという読み方もあります。パウロは手紙も終盤に近づく中で、フィリピの教会で実際にあった問題に言及しているのは間違いないでしょう。それは、エボディアとシンティケという二人の女性指導者の間の争いです。その問題の中身については、私たちは何も知りません。ただ、犬どもと言われるようなキリストの十字架に敵対して歩んでいる人々ではありません(つまり根源的な真理問題ではありません)。もっと何か具体的な、福音信仰の点では一致しているけれども、意見の一致が難しい事柄があったのでしょう。教会にもそういうことがあるのは事実です。パウロが愛して特別な関係を築いていたフィリピの教会でさえそうです。この二人に対してパウロは、「主において同じ思いを抱」くように勧めます。2節。1・2章でも、繰り返しフィリピの教会の人々に対して勧めてきたことを、特にこの二人の女性に勧めます。同じ思いを抱くことは実に難しい課題ですけれども、主イエス・キリストがおられるからできるのだと信じます。
 そして、この二人だけではなくて、他の人々にも協力と支えを求めます。当事者だけでは和解できなくても、第三者の助けで何とかなる、解決することは多いのです。3節前半。「真実の協力者」とは誰なのか、様々な議論がありますが、手紙が読まれるときに聞いている全ての人々ではないでしょうか。3節後半。「命の書に名を記されている」とは、ユダヤ教後期黙示文学や死海写本に出てくるのですが、「本国は天に」(3章20節)とここでは同じ意味です。一致のための共通の強力な基盤は、共に戦った事実です。フィリピの教会の創設に当って、この二人の女性も労したことでしょう。私たちはまず、「共に戦う」と言えるほどに真剣に福音宣教・伝道に邁進しているかが問われています。