これまでの説教

日本基督教団幕張教会 早乙女哲自牧師

2019年2月17日「香ばしい香り」(フィリピの信徒への手紙4章15~18節)

 今日は特に、18 節を中心にみていきます。何回か申し上げてきましたように、10~20節は、「感謝なき感謝」で、直接的な感謝の言葉はありません。しかしパウロは、単純に感謝を述べるよりも、更に深いことを語っています。その一つ、前回は「共に苦しむ」こと(14節)をみました。単に金銭的・経済的な負担、重荷なのではなくて、パウロに贈り物をしたことは、パウロと苦しみを共にすることであり、神への献げ物なのだといいます。
 まず17節で、パウロは自分にとっての贈り物の意味ではなくて、フィリピの教会の人々にとっての意味を述べます。「あなたがたの益となる豊かな実(あなたがたの帳簿を黒字にする実り、新聖書協会訳)」。彼らは、パウロのために贈り物をすることで、経済的には負担になる、苦しむことになります。しかしそれは、神への献げ物なのだから、神のもとで大きな富を積むことになります。それは彼らの役に立つことです。
 18節。パウロは確かにフィリピの教会の人々からの贈り物でとても助かったようです。そしてこの贈り物を神との関係で、「香ばしい香り(かぐわしい香り、新聖書協会訳)」と述べます。これは旧約聖書からの言葉で、神が喜んで下さるいけにえ・供え物ということです。私たちは小さな取るに足らない存在です。しかし神は、この私たちの捧げ物を喜んで受け入れてくださいます。「神は、私たちに価値があるから愛されるのではない。神に愛されているから私たちには価値があるのだ(ある宗教改革者の言葉)」さあ、惜しむ心からではなくて、感謝と喜びをもって神に献げましょう。