これまでの説教

日本基督教団幕張教会 早乙女哲自牧師

2020年8月9日「広がりゆく神の支配」(マタイによる福音書13章31~43節)

 前回は平和聖日で、毒麦の例えから、消極的平和をみました。前回申し上げましたように、種蒔きの例えと毒麦の例えとは、似た構造になっています。例えと例えの解説の間に別のものが挟まれています。今日の箇所は、短いながら、四つの部分からなります。第一と第二の部分は、天の国の二つの例えで、三番目に例えを用いる理由、そして最後に毒麦の例えの解説です。
 まず前回の振り返りと補足として毒麦の例えの解説をみます。今日の箇所で一番長い、最後の部分、36節以下です。振り返りとして、このように語られているにも係わらず、主イエスの十字架の出来事は、ここに描かれている現実を越えていくことです(前回の三つ目)。そして補足として、「畑は世界、良い種は御国の子ら」(38節)に注目しましょう。
 次に例えを用いて語る理由です。34・35節です。詩編78編2節です。預言者・旧約聖書の実現のためだというのです。以前に申し上げた、謎と例えを用いざるを得ない理由の他に、このことがあります。
 最後に、最初の二つの例えをみてみましょう。31~33節です。一つ目はからし種の例えです。天の国(天国、神の国、神の支配)は、からし種が小さな小さな一粒から、本当に大きく成長するように、広がりゆくものだということです。また二つ目も同じことを指し示しています。パン種が生地全体を膨らませるように、そのように神の支配は広がっていきます。これには、三つの場面があるでしょう。私達一人ひとり、教会、そして世界です。大切なことは、私達自身が、信仰の現実として、この主イエスの言葉を信じてイメージすることです。この豊かなイメージをもって、私達は教会形成を進めていきましょう。