これまでの説教

日本基督教団幕張教会 早乙女哲自牧師

2017年7月16日「あなた方が与えなさい」(マルコによる福音書6章30~44節)

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 前々回、主イエスは十二人を派遣なさいました。前回は間を埋める記事で、今日、派遣された弟子たちの帰還です。主イエスは弟子たちの報告を聞いて、弟子たちを労い、休息を与えようとなさいます。30~32節。ところが計画通りにはいきません。「人里離れた所」であるにもかかわらず、人々が先回りしてしまいます。33節。主イエスは身近な弟子たちの疲労よりも、集まってきた人々の必要を優先します。34節。ここでも、マルコは主イエスが「教えた」ことを何よりも大切に記します。時間が経ちます。弟子たちは、人々が各自食べ物を調達できるように、一度解散することを進言します。35・36節。しかし主イエスは、仰います、37節。男だけでも五千人もいるのですから、弟子たちが二百デナリオンものお金を使ってパンを買うのかという弟子たちの言葉はとてももっともなことです。主イエスは、「いや大丈夫だ、こうこうだから」と説明なさるのではなくて、弟子たちに命じます、38節。そして五千人の給食を行います、最後、39~44節。全ての人が満腹します。
 この記事から私達は何を聞き取るのでしょうか。まず第一に、主イエスが、必要を満たされる方、単に精神的な事柄だけでなく、実際に必要なパンの必要を満たして下さる方だということです。この奇跡は「不必要な奇跡」と言われることがあります。しかし主イエスがどのような方であるかを示すために大切な奇跡です(四つの福音書全てにあるのはこの奇跡だけ)。第二に、弟子たちの無理解です。第三に、それにも関わらず、主イエスは、「あなたがたが与えなさい」と命じられます。「無理だろう」と人間的な判断をして行わなければ、奇跡は起きません。主の命令であることが分かったならば、たとえ無理だという理性的な判断があったとしてもやってみる、ここに聖霊が働きます。私達も失敗を恐れて行わない群れではなくて、主のご命令に従いそれゆえ用いられる群れでありましょう。