これまでの説教

日本基督教団幕張教会 早乙女哲自牧師

2018年9月23日「救いの達成に努めよ」(フィリピの信徒への手紙2章12.13節)

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 今日の聖書箇所は、「だから」ではじまっています。唐突に違う話になったのではなく、主イエスのへりくだりと高挙とを述べて、それを受けて、今日の勧めです。しかしまた、「わたしの愛する人たち」と呼びかけていますので、新しい勧めでもあります。12節。二つのことが勧められています。従順であることと、救いの達成に努めることです。まず一つ目の従順には、誰・何に対する従順であるかが書かれていません。一つには、神に対する従順であり、今一つには(パウロの伝えた)教えに対する従順です。更に、「お互いに」対する従順を指摘する方もいます。
 次に、救いの達成に努めることが勧められています。これは、「恐れおののきつつ」です。これはどういう意味でしょう。神の前に、ということです。私達は、11節までに語られたような主イエスの事実によって、救いを約束されています。しかしそれは、「ありのままの自分では救われないはずの自分が、しかし神の恵みによって救いに入れられている」ことです。この大きな恵みにあって、私達は、恐怖ということではなく畏敬という意味で、恐れおののかないわけにはいきません。もしも恐れおののきがないとしたら、それは神の救いの恵みを軽く見ていることです。さらに「自分の」は実は複数形なので、「自分たちの」という意味です。「自分一人の」ではなくて、信仰共同体としての教会全体がここでは考えられています。また、救いの達成に努めるといっても、決して神人協同説が主張されているのではありません。次の13節から明らかです。13節。私達の内に意志を生むのも、実際に行わせるのも全て神であられます。だから、私達の中からそういう救いの達成への努力が生まれるのではなく、全て神の恵みです。私達は、この神の恵みの大きさの前で、この神の恵みの大きさをわきまえて生きる、そこにこそ、パウロの求めるキリスト者の生き方が形作られます。