これまでの説教

日本基督教団幕張教会 早乙女哲自牧師

2023年1月15日「人を分け隔てなさらない」(エフェソの信徒への手紙6章5~9節)

 人間関係に関する教え、今日が三つ目、最後です。まず一つ目が妻と夫、二つ目が子と親、今日が奴隷と主人です。三つに共通することは、社会的に優位な立場にある者がより厳しい戒めを与えられていることです。そしてさらに今日の箇所では、人を分け隔てなさらない方として、神への言及があります。
 みていきましょう。まず奴隷への勧めです。 5~ 7節です。うわべだけではなくて、喜んで仕えなさい。そして奴隷や主人という身分を越えた神理解が描かれています。 8節です。主から受ける報いについては、身分(奴隷か自由の身分の者か)に関係なく、善いことを行えば神は報いてくださいます。当時の身分制度の中で生きることが前提とされつつも、それを越えることが既に教えられています。
 次に主人たちへの教えです。 9節です。奴隷を平等に扱うべきこと、さらに(親が子どもを怒らせてはならないように)主人は奴隷を脅してはなりません。ここにあるのは、身分や立場の違いを越えた人間の対等さ、尊厳があるのではないでしょうか。その根拠は、天におられる主人が、人を分け隔てなさらないことです。私達人間は、私達人間のもつ弱さから、身分や立場、様々な条件によって人を分け隔てしてしまいます。しかし神は、分け隔てなさらない方です。そしてそのことが、私達が何とか可能な限り分け隔てしないで生きようとする根拠・動機・理由です。
 社会秩序や身分、立場などはこれからも変わりゆくでしょう。しかしながら神の眼差しにおいて、「人を分け隔てなさらない」神の眼差しにおいて、私達は生きていきます。